植物好きの間で近年注目を集めている「亀甲竜」。その名前の通り、幹の表面はまるで亀の甲羅のようにゴツゴツと割れ目が入り、独特な存在感を放ちます。さらに、そこから伸びるつる性の茎とハート型の葉は可愛らしさも兼ね備えており、観葉植物としても大人気です。この記事では、亀甲竜の基本情報から育て方のコツ、ちょっとした豆知識まで、初心者にもわかりやすく紹介します。

基本情報
- 学名:Dioscorea elephantipes
- 科名:ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)
- 属名:ディオスコレア属(Dioscorea)
- 原産地と分布域:南アフリカの乾燥地帯
- 特徴:
- 塊根の表面は硬く、ひび割れ模様が亀甲のように見えるため「亀甲竜」と呼ばれる
- 地上部の幹(塊根)は成長とともに直径30〜60cmにまで育つこともある
- 秋から春にかけてツルとハート形の葉を伸ばし、黄色い小花を咲かせる
- 夏は休眠期となり、葉は枯れて幹だけが残る
独特のビジュアルと生態からが高く、インテリア性と希少性の両面で楽しめます。
育て方ガイド
日当たり・置き場所
亀甲竜は冬型の塊根植物です。秋から春にかけての生育期には、よく日の当たる窓辺や屋外の明るい場所で管理しましょう。ただし真夏は葉を落とし休眠期に入ります。直射日光を避け、風通しのよい場所で涼しく保管するのが安心です。
水やりのポイント
- 生育期(秋〜春):土の表面が乾いたらたっぷりと与える。
- 休眠期(夏):葉が枯れ落ちた後は水を控えめにし、枯死を防ぐ程度に水やりをします。過湿は根腐れの原因になるため注意が必要です。
温度管理
亀甲竜は冬型の塊根植物ですが、耐寒性はそれほど強くありません。最低気温が8℃を下回ると生育に悪影響を及ぼすため、厳冬期は室内に取り込みましょう。温度が安定することで休眠と生育のリズムも整います。
土・肥料の選び方
- 土:水はけのよい多肉植物用の土や、赤玉土・軽石をブレンドしたものが適しています。
- 肥料:生育期に緩効性肥料を少量与えると、葉や茎の成長を助けます。ただし与えすぎは塊根の形を崩すこともあるため、控えめが安心です。
病害虫対策
亀甲竜は比較的丈夫ですが、過湿状態で放置するとアブラムシやカイガラムシがつくことがあります。葉に異常を感じたら、早めに駆除や薬剤散布で対処しましょう。また、過湿による根腐れが最も大きなリスクなので、風通しと水やり管理を徹底することが大切です。
豆知識
原産地では
亀甲竜は、乾燥した砂漠や岩場に自生しており、巨大な塊根が地中に埋もれるようにして育ちます。現地では食用としても利用された歴史があり、塊根はデンプン質を含んでいます。
雑学
- 別名「エレファントフット(象の足)」とも呼ばれ、その名の通り象の足のような外観を持っています。
- 世界的に愛好家が多く、日本でも塊根植物ブームの代表格として人気を集めています。
- 成長はゆっくりですが、長寿の植物で、100年以上生きる個体もあるといわれています。
- メキシコには夏型の類似種があり、「メキシコ亀甲竜」、「アフリカ亀甲竜」として区別されます。
まとめ
亀甲竜は、亀の甲羅のような独特の幹とハート型の葉を併せ持つ、観賞性の高い塊根植物です。乾燥に強く、季節に応じた水やりと温度管理さえ押さえれば、初心者でも育てやすいのが魅力。自宅の植物コレクションに取り入れてみてはいかがでしょうか。
秋から春にかけての生育期はツルと葉が元気に育ち、夏の休眠期はごつごつの塊根の力強い姿を楽しめます。四季の変化を感じながら育てられる植物、それが亀甲竜です。
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